2010年5月 1日 (土)

「み」という文字

 唐突ですが、吉野山が好きです。でも一度も行ったことがありません。一度桜を見たいのですが、この時期は年度末~年度初めで休みが取りにくいのと、花粉症がひどいので、「吉野杉」と聞いただけで恐れおののいてしまって、だめですね。将来、年を取って時間ができて、花粉症がこの世から消えれば、一度桜の花びらに埋もれてみたいと思っています。西行を気取ってみるのもいいかもしれません。

 その代わり、もう7年ぐらいになるでしょうか、毎年このサイトを見ては癒されています。たまに投稿写真を季節限定で自分のPCの壁紙にしたりもします。

 吉野は古くから、「み吉野」と呼ばれてきました。ATOKで変換させると「み吉野」とは出ずに「美吉野」と出てきてしまいますが、グーグルでみるとそれは北九州にある地名だったり、吉野の近くにあるお店の名前だったりするようです。地名、店名では他にも「御吉野」もあれば「深吉野」もあります。すべて「みよしの」と発音します。

 美しい「み」、貴い「み」、山里深い「み」。どれも同じ発音で、だから古くから歌でも「み吉野」と詠まれてきています

 「み」という文字は、ただmiという音を表す文字。なのに、それが「吉野」という漢字と組み合わさっただけで奥深い世界を描き出します。字面だけでも絵画的でもあるし、それを口に出して発音すれば映像のような奥行きも感じさせます。ひらがな一文字が生み出す豊かさは、こころをつかんで離しません。

 英詩でこういう例はないんじゃないでしょうか。だから日本語は面白い。そして、一つの表音文字からこれだけの豊かな想像力をかき立てられる、というのは、日本語を母語として理解できることの醍醐味なのではないでしょうか。

 

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