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2011年5月14日 (土)

ハンセン病の拡大?という疑問から考えた

 5月1日の夜から8日の夜までインドネシアに出張していました。7~8日がASEANサミットで、それの前にぶつける形で、3~5日に「ASEAN市民社会会議(ACSC/APF)」というNGO(って最近は言わないで、「市民社会」と言うようですね)側の会議がありました。そのときもいろいろあったのですが、顛末はまた別に。

 会場で、インドネシアで、ハンセン病に関する活動に取り組んでおられる方とお話を少しする機会がありました。

 彼女はジャカルタではなく、地方で啓発普及・ハンセン病の方の権利擁護に取り組んでおられます。今でも、子どものハンセン病患者さんがいらっしゃるとの話に、「新たに感染が広がっているのですか?」と質問をぶつけました。

 そうしたら「そうではなくて、ハンセン病に対するスティグマが強くて、なかなか言い出せない上に、保健所・地方政府が『待ち』の姿勢でいるから、これまで見えてこなかっただけです。草の根の人たちの活動があって、そうした人たちの存在が明らかになっているだけなのです」というお返事が帰ってきました。

 その後、地方分権下のインドネシアの保健行政、中央政府との役割分担、財源のあり方などについて、お話を伺いました。

 日本にいたとき、某県で「困難事例」への対処能力を高めよう、ということで開かれた、障害者福祉担当の自治体職員への研修で講師を務めたことがあります。このとき、参加者の皆さんに「困難」と感じる事例を持ち寄っていただいて、解題を試みたのですが、おもしろかったのは「何を困難と感じるか」が人それぞれだったところです。

 複合的に重なった問題(親の高齢化とか、家族関係とか、制度がうまく当てはまらない難病とか)とを持ってこられた方もいれば、単に障害が重度で財政的に負担が難しいというという話を持ってこられた方もいました。

 興味深いのは、都市部だから複合的な問題を持ってくるとか、町村部だから財政問題を言うとか、そういった単純な話ではなかったところです。むしろ、実際に家庭訪問をどれくらいしたかとか、地域の関係者をどれくらい知っているか、とかそういう「姿勢」に左右されていました。

 こう書くと、おそらく地方公務員をされている方からは、いろいろと注釈や反論もあるでしょう。私がここで書きたいのは、個々の職員の尻を叩こうという話ではなく(もちろん、そうした方がいい人もいますが)、人事システムや財政も含めて、今の福祉行政のあり方や期待と、行政の慣行をすりあわせるのが限界なのではないかということを感じているのです。

 だからといって、ユートピアができるまで待つこともできないわけで、限界の中で現場に何ができるか、そしてマクロでは限界そのものをどう壊して何を再構築するか、が課題なんだろうと思います。私は「財政がないからできない」は半分しか現状を説明していないと思っています。

 インドネシアで久しぶりにこんなことを思い出しました。インドネシアに限らず、今ASEANでは、制度的なセーフティーネットを構築しようと10年あまりにわたって議論と実践が続いています。そのなかで、地方行政の能力強化は大きな課題。中央の役割、地方の役割がどう重なると福祉行政は最大化されるのか、私の中の大きな課題でもあります。

 

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