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2010年4月13日 (火)

報道あれこれ

 バンコクにいて、テレビを見ているととてものどかである。タイ語は分からないけど。

 もちろんニュースの時間はいつもより多いのだろうし、赤服ネタが大半を占める。映像も日本みたいにモザイクなど一切なしに血がだらだら流れ、負傷者が運ばれる。

 だけど、その時間が終われば、ドラマ、アニメ、歌番組、ムエタイ、サッカー、ソンクラーンの水掛けの様子など、新年の娯楽にあっという間に戻る。これをなくした方が暴動が起きてしまうんじゃないか、というほどにいつものテレビが続く。

 夜になると時折、政府の発表が突然割り込んでくる。全局一斉に画面が変わり、味気ない政府からのご発表がある。そしてそれが終わるとまた日常のテレビに。ニュースキャスターも何かその発表に言及する様子もない。アピシット首相も登場する度にやつれていく。一度だけ英語の政府発表を見た。ロイターのカメラマンが亡くなったあとの発表だ。英語を話すスポークスマンが横に同席し、(おそらく)同じことを英語でしゃべった。死亡原因究明の委員会を作るとか、それに赤服も協力せよとか、たぶんそんな内容。

 もちろん、報道管制が敷かれているから、というのもあるが、ニュースの作りは基本的にシンプルである。現場リポートが中心。たまに時間を取って軍関係者や評論家を招いたインタビュー。日本のようにバラエティーなんだか、ワイドショーなんだか、ニュースなんだか、というものは見られない。日本だったら、芸能人から専門外の評論家までずらっとならんで、適当なことを言って放送時間を確保しようとするだろう。今頃そういう番組でタイが取り上げられているのだろうか。何せ、日本人が亡くなったのだから。

 産経新聞の社説「主張」をネットで読む。日頃より右翼色の強い同紙のこと、きっとアジア諸国のあり方について何か一家言(極論?)を主張するだろうと期待したら、「タイ政府には死亡原因の徹底解明を要求したい。同時に、これ以上犠牲者が出ないよう、騒乱収拾に全力を尽くすよう強く求める」だそうだ。これでは日頃同紙がけちを付けている朝日新聞と大して変わらないではないか。あとは「社説」部分がない、分析記事になっている。おもしろくない。

 「犠牲者を出さずに騒乱収拾」できるなら、とうにやっておる。「徹底解明」にしても、今の政府に期待するのは無理。「在タイ日本大使館の情報収集能力が低いから、無理なお願いをタイ政府にする以外できない」とか、産経らしい突っ込みを見せてほしかった。結局、アジアについて普段からきちんと考えていないんじゃないかという気にさせられる。右も左も。

<以下、産経社説>

 反政府集会・デモが1カ月も続くタイで治安部隊との間で流血の衝突が起き、取材中の日本人カメラマン1人を含む20人以上が死亡した。

 最悪の展開となったことはきわめて残念だ。日本人カメラマンは左胸を銃撃されたことが分かった。タイ政府には死亡原因の徹底解明を要求したい。同時に、これ以上犠牲者が出ないよう、騒乱収拾に全力を尽くすよう強く求める。

 今回の騒乱は、タイ最高裁が今年2月末、国外にいるタクシン元首相一族を不正蓄財で裁き、資産の6割を没収する判決を下したことが引き金となった。

 3月中旬以降、議会解散・総選挙を要求するタクシン派による最高10万人規模の反政府集会・デモが断続的に続いた。アピシット首相とタクシン派との会談も物別れとなり、デモ隊が国会に乱入した。首都バンコクと周辺には非常事態宣言が出され、治安上憂慮すべき事態となっている。

 国内外の大手銀行や企業の事務所が集中するバンコク中心街がデモ隊に占拠されて休業が相次ぎ、経済損失はすでに数百億円規模にも達しているという。

 アピシット首相はハノイで先週開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議への出席を取りやめざるを得なかった。政府側も反政府側のタクシン派も内政、外交への打撃を深刻に受けとめるべきである。

 日本への影響も小さくない。タイにとって日本は貿易、投資、援助のいずれもが最大の国だ。日本の自動車や家電など大手メーカーのほか中小企業までを含めると約7000社が進出している。今後、タイ国内の混乱で輸出のための物流網が寸断されるような事態は何としても回避したい。

 解決へのシナリオは描きにくい。騒乱の根源が、通信事業などで巨額の富を築いたタクシン氏が代表する新興勢力とアピシット首相に象徴される旧支配・エリート層の対立にあるからだ。とくにタクシン氏が、低額医療などの首相時の政策によって、国外にいる今も貧困層の熱狂的支持を得ていることが問題を複雑にしている。

 反タクシン派もかつて大規模デモを展開してバンコクの国際空港を占拠する騒ぎを起こし、それがアピシット政権の誕生につながった。だが、このようなデモの常態化と、その延長の政権交代では国が消耗するだけではないか。

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