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2007年11月22日 (木)

読売の意図はどこに?

とてもマイナーな記事だが、北海道滝川市で暴力団員とタクシー会社による生活保護費の不正受給があった。全国紙では唯一読売が積極的に報じている。

(第一報:2007年11月20日)----------------------

制度悪用し生活保護費詐欺、介護タクシー会社役員ら逮捕
 札幌市のタクシー会社役員らが、生活保護受給者が通院時に利用したタクシー料金の補助制度を悪用して生活保護費をだまし取っていたとして、道警は19日、介護タクシー会社「飛鳥緑誠介(あすかりょくせいかい)」役員、板倉信博容疑者(57)(札幌市北区)ら3人を詐欺の疑いで逮捕した。

 板倉容疑者らは、通常のタクシー料金に加えて「特別車両費」など架空費用を次々と計上する手口で請求額を水増ししており、昨年5月から始まった不正受給の総額は2億円近くに上るとみられる。

 ほかに逮捕されたのは、同社社員の小向敏彦容疑者(40)(札幌市白石区)と、生活保護を受給していた無職片倉ひとみ容疑者(37)。

 調べによると、板倉容疑者らは、実際にはタクシーの利用がなかったのに、片倉容疑者らが通院のため、滝川、札幌両市間を数往復したとして滝川市に運賃を請求。今月9日に150万円を不正受給した疑い。

 「搬送用の担架を装備した専用車を使用」「急病で深夜に呼び出された」などの名目で特別車両費や深夜料金なども上乗せしており、多い時には市から1か月当たり約1700万円のタクシー料金を受け取っていたという。

 市からの給付金は、代金を立て替えたタクシー会社に支払われる仕組みだが、板倉容疑者らは滝川市から、タクシー会社の法人名義口座ではなく、同容疑者らが自由に管理していた元会社関係者の個人名義の口座に入金させていた。このため道警は、板倉容疑者らが、市の審査体制の甘さなどを悪用して、犯行を続けていたとみて調べている。

 口座に入った金は分配していたとみられ、道警は口座からの出金状況などを詳しく調べている。

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うむ。これは悪いだろう。

そして、第二報が翌日、21日に流れる。

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生活保護費、暴力団資金に?タクシー補助詐取で元組員逮捕
 札幌市のタクシー会社役員らが、生活保護受給者が通院時に支給を受けられるタクシー料金の補助制度を悪用し、生活保護費をだまし取っていた事件で、北海道警は21日、元暴力団組員、片倉勝彦容疑者(42)を詐欺容疑で逮捕した。

 片倉容疑者の妻も逮捕されており、道警は、詐取したタクシー料金の一部が、片倉容疑者を通じて複数の暴力団関係者に流れたとみて調べている。(以下略)

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なるほど、逮捕された人の夫は暴力団員で悪質だったわけだね。

ところが、読売新聞、この事件をやたら追いかける。今日22日には、こんな記事を。

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生活保護費詐取、タクシー補助で2億円超…滝川市側甘く
 札幌市のタクシー会社役員らが、生活保護受給者が通院時に支給を受けられるタクシー料金の補助制度を悪用し、生活保護費をだまし取っていた事件で、不正受給の総額は今年10月までの1年半で、約2億3300万円にのぼることがわかった。

 北海道警は、窓口となった北海道滝川市のチェック体制の甘さにつけ込み、受給者で詐欺容疑で逮捕された元暴力団組員片倉勝彦容疑者(42)らが請求額をつり上げていったとみて調べている。(以下略)

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こうやってみると、19日深夜(20日未明)の一報以来、3度にわたって丹念に報じている。しかし、追求の矛先は、

  1. 不正請求をしたタクシー会社
  2. タクシー会社と共謀した暴力団員
  3. チェックできなかった滝川市

と、少しずつシフトしていっている。

 確かに、北海道新聞も同様の流れで取り上げている。しかし、北海道新聞はもっと細かく丁寧に取り上げている。もちろん、地方紙の優位はあるのだが、では、なぜ、全国紙のうち読売だけが今このネタを独走して連日取り上げるのかが気になる。というのも、暴力団員による不正請求も(もちろん許せることでは到底ないが)、業者による水増し請求も(これも到底許せませんが)、決して珍しいことではないから。

 全国でこういう事例はいっぱいあって、その都度締め付けを国が指示して、でも、肝心の不正を行う者はうまくすり抜けて、言われもなく締め付けられる正規の受給者がいっぱいいる実態がある。本当に罰するべき人たちが罰せられない理不尽が、多くの貧困層を締め付けている。読売の記事が、本当に生活保護をまっとうな貧困対策に持っていく方向に行けばいいのだが、どうも記事の動向を見ていると「生活保護受給者はうまくもうかりかねないから、行政は監視を強化せよ」という煽りを生みかねない危うさを感じる。

 先日も厚生労働省の中で、生活保護切り下げに向けた議論が展開された。この議論も、「最低賃金よりも高いことに世間の不満がある」という、「貧乏人」同士をいがみ合わせるような形で誘導されている。読売がこのタイミングで3日続けて記事を出しているのは、どうもこれの側面支援のような気がしてならない。

 いまさら連立騒動のことを持ち出すまでもなく、読売はますます自民党の一部の人たちの「機関紙」と化してきたように思える。報道機関ではなく、宣撫機関となってはいないか?

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